通信技術を使用した代表的な製品に「リモコンキーシャッター」があります。この製品は、携帯キーに設けられたボタンを押すと、2.4GHzの周波数帯の電波で受信機と通信を行い、イグニッションスイッチのキー穴シャッターを自動開閉させるとともに、アンサーバック機能(ブザー鳴動、フラッシャー点灯)を持っています。アセアン市場では、バイクは生活の足であり、タイやベトナムでは世帯当たりのバイク普及率は70%を超えています。それ故、街にはバイクが溢れ、駐車した際に自分のバイクがどこにあるのか分らないといった状況が発生しています。しかし、アンサーバック機能があれば、より早く自分のバイクを発見できます。また、キー差込口にLED照明を搭載したことで、夜間でもキー差込口の位置がすぐにわかるように配慮しました。このように利便性の高い製品の開発にも取り組んでいます。
リモコンキーシャッター
2014年2月、ベトナムのバイク登録台数は3,900万台を超えました。ベトナムの最大都市ホーチミンでは、人口約700万人に対してバイク登録台数は600万台となっています。交通インフラが十分に整備されておらず、交通渋滞が深刻な問題となっています。
そんなバイク大国ベトナムでは、駐輪場で無数に並んだバイクの中から自分のバイクを探すのも苦労します。そこで活躍するのが「アンサーバック機能」です。アンサーバック機能とは、キーに内蔵されたスイッチを押すことで、バイクと通信し、ハザードランプとアラームで自分のバイクの位置を知らせてくれる機能です。この機能によって、自分のバイクを簡単に見つけ出すことが可能になりました。
リモコンキーシャッターとは
キーシャッター一体型イグニッションスイッチに通信技術を取り入れたことで、「アンサーバック機能」、「キーシャッター自動開錠機能」を実現した製品です。
キーシリンダのピッキング防止技術にイグニッションスイッチにシャッターを設けたキーシャッターがあります。このキーシャッターにユーザーの利便性を向上させる機能を追加したものが、リモコンキーシャッターです。
朝日電装のリモコンキーシャッターの特徴
ピッキング防止を目的としたキーシャッターは1998年に登場しました。世界初となるキーシャッターの開発を手がけたのが、朝日電装でした。開発当時、キーシャッターは社内で“ピシャッタ君”という愛称で呼ばれていました。“ピシャッタ君”の由来は「ピシャッ」というシャッターの閉まるときの音と「シャッター」を組み合わせた造語です。今となっては原付バイクを中心に搭載が一般的となった“ピシャッタ君”ですが、当時はイノベーティブな製品でした。
一般的となったキーシャッターに更なる付加価値を与えるために開発されたのが、リモコンキーシャッターです。ピッキング防止の単機能だったキーシャッターに「アンサーバック機能」、「キーシャッター自動開錠機能」を追加しました。
リモコンキーと車両の通信には、2.4GHz周波数帯の電波を使用しています。この周波数帯は「ISMバンド」(Industry Science Medical band)とも呼ばれ、10mW以下の出力であれば免許不要で利用できるよう開放されている領域で、産業・科学・医学用の機器に用いられています。WiFiやBluetooth機器などにも使用されています。
ISMバンドには2.4GHz帯の他に920MHz帯があります。920MHz帯は2.4GHzと比較して到達距離が長く、回折性が高いので障害物を回りこんで通信できるという特徴があります。しかしながら、アンテナのサイズが大きくリモコンキーなどの小型化が求められる製品には適しません。また、リモコンキーはコイン電池で動作するため、消費電力を抑え電池の寿命を延ばすことが必要となります。920MHzに比べて2.4GHzは消費電力が少なく、リモコンキーに2.4GHz帯を採用した一つの理由となっています。